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食べ方を根っこから変えるのは、もういい。それでも今夜、何かひとつだけなら試す余地が残っている。そういう夜があります。
そんな夜に要るのは、食品名の長い一覧ではありません。「何に、何を、どれだけ足すか」が見えている一食です。この記事は、そこまで落とします。
食事中にむせる、飲み込みにくい、入れ歯が合わない、歯が欠けている、被せ物が取れたまま、顎が痛む。ひとつでも当てはまる方は、ここから先の献立を試さないでください。先に歯科医師か、嚥下を診ている医療機関へ相談してください。これは、病院へ行かなくていいという意味ではありません。
先に、この献立の出どころを書きます
これから出す3つの献立そのものを試した研究を、このサイトは確認できていません。研究メニューではなく、私、凪本咲の提案です。
参考にしたのは1件だけです。クルミを粒のまま食べた条件と、ペースト状にして食べた条件を比べた試験。そこから「食べ物の形を残す」という考え方だけを借りて、台所に当てはめました。
比べられたのは、噛む回数ではありません。食べ物の形です。 ここを混ぜると、たちまち話が盛られます。だから献立の側でも「よく噛めば何かが起きる」という約束はしません。この試験が何をどこまで測ったかは、後半にまとめて書きます。
今夜、分量まで決めた3つの一皿
3つとも、いまの夕食に足すだけです。ごはんもみそ汁も麺も、そのままで構いません。夜の性格で選んでください。
1.包丁を出せる夜:豆腐ときゅうりの一皿(約4分)
足す先:ごはんとみそ汁の夕食/手間:切るだけ
- 木綿豆腐 150g
- きゅうり 1本
- 素焼きアーモンド 10粒
- ポン酢 10g(小さじ2)
木綿豆腐は大きめの6等分に。きゅうりは厚さ1cmほどの輪切りにします。皿に盛って、アーモンドは砕かずそのまま添えます。ポン酢は全体にかけても、別添えでも構いません。
豆腐、きゅうり、アーモンドは、口に入ったときの形がそれぞれ違います。全部を細かく刻んで均一にする必要はない、という一皿です。
2.フライパンを出せる夜:厚揚げときのこの焼き皿(約8分)
足す先:ごはんとスープ、または麺類の夕食/手間:切って焼くだけ
- 厚揚げ 150g
- しめじ 100g
- 小松菜 100g
- ごま油 4g(小さじ1)
- しょうゆ 6g(小さじ1)
厚揚げは8等分。しめじは石づきを落としてほぐし、小松菜は5cmほどに切ります。フライパンにごま油を入れて厚揚げの表面を焼き、しめじと小松菜を加え、火が通ったらしょうゆを回しかけます。
厚揚げは表面と中で食感が変わります。しめじと小松菜も、同じ形にはなりません。
この皿は、うどんやそばの日にも足せます。肉や魚や卵が食卓にある日でも、それを追い出す話ではありません。プラントベース寄りというのは、食卓を一度で塗り替える合図ではないからです。今夜ひと皿を加える。それくらいの幅で考えます。
3.火を使いたくない夜:開けて混ぜるだけ(約1分)
足す先:買ってきた惣菜やおにぎり、カップスープの夕食/手間:開けるだけ
- 蒸し大豆 50g(1パック)
- カット野菜 100g
- 素焼きアーモンド 10粒
蒸し大豆とカット野菜を同じ器に入れ、アーモンドは砕かず添えるだけです。味つけが要るなら、カット野菜に付属のドレッシングを使えます。付いていなければポン酢10g(小さじ2)で足ります。
この一皿で大事なのは、料理をした実績ではありません。帰宅して袋を3つ開けたら一食の形になる、というところです。同じ組み合わせはコンビニでも作れます。
アーモンドを10粒と数字で決めてあるのには理由があります。ナッツは少ない量でもエネルギー量が大きくなりやすい食品なので、「ひとつかみ」で置かずに粒数で書きました。多い少ないの話ではなく、迷わないための数字です。
蒸し大豆は商品によって内容量が違います。50g入りでなければ、表示を見て50gぶんを使ってください。
この一皿で言えること、言えないこと
参考にした試験では、健常な成人50人がクルミ28gを食べています。粒のままの条件と、ペースト状の条件の比較です。粒の条件では満腹感が高く、空腹感が低いという結果でした(p<0.05)。
ただし、粒に有利な結果ばかりではありません。甘いものが欲しい感覚は、逆にペーストの条件で低くなっています。都合のいいところだけ抜き出せる試験ではない、ということです。
血糖値、インスリン、活性GLP-1には、いずれも有意差がありませんでした。満腹感の差をホルモンで説明できたわけでもありません。
そして、満腹感がどのくらい動いたのかは、原著の本文に数値として書かれていません。体重も、その後に食べた量も測っていません。 だからこの記事から、体重や食事量の話はできません。言えるのは「粒の形で食べた条件では、主観的な感覚に差があった」まで。そこで止めます。
参加条件には「健全な歯列であること」も含まれていました。歯や顎に不具合のある人へ、そのまま当てはめられる試験ではありません。判断材料として、著者の1名がカリフォルニアくるみ協会から研究助成を受けていることも書いておきます。
試験の条件はE05にまとめてあります。食べ物の形と満腹感の話は満腹感と粒子サイズの記事にも整理しています。
続かなくても、この献立は成立します
咀嚼回数を測るアプリが昼だけ続いているなら、それで足ります。この記事は、夜も測りましょうとは言いません。
今夜1回で終わっても構いません。何日か空いて、思い出した日にまた選んでも構いません。続くことを、この献立を試す条件にしないでください。 分量まで書いたのは、思い出した夜に考えなくて済むようにするためです。
よくある質問
今夜の夕食に豆腐をどう足せばいい?
ごはんとみそ汁に、木綿豆腐150gの一皿を足せます。きゅうり1本とアーモンド10粒を添えると、形の違うものが一皿に並びます。包丁を出したくない日は、木綿豆腐を器に移して蒸し大豆50gを添えるだけでも形になります。ただし、この組み合わせ自体を検証した試験を、このサイトは確認できていません。
よく噛む夕食は何を食べればいい?
特定の食品を正解にはできません。この記事が引いた試験は、噛む回数を比べたものではないからです。選ぶなら、豆腐だけで一皿を終わらせず、きゅうりや粒のままの大豆など、形の違うものを並べる方法があります。売り場から選び直したいときは噛みごたえのある食べ物を1品だけ足す選び方も使えます。
噛みごたえのある夕食の献立は?
今夜なら、厚揚げ150g、しめじ100g、小松菜100gを焼く一皿で約8分です。火を使わないなら、蒸し大豆50g、カット野菜100g、アーモンド10粒で約1分。硬さを競う献立ではありません。一皿の中で形と食感が変わるように組んでいます。
まとめ
- いまの夕食は変えず、分量を決めた一皿だけ足す
- 献立は私の提案で、確かめられた研究結果ではない
- 夜の記録は要らない。今夜1回で終わってもいい
次に読む
※この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。噛みにくさやむせがある場合は、自己判断で食べ物の形を変えず、歯科または嚥下を診ている医療機関へ相談してください。
※書き手は医師でも研究者でもありません。原著にあたること、原著に書いていないことは書かないことを基準にしています。誰がどういう基準で書いているかは運営者情報・編集方針に置いています。
この記事の科学的根拠(参考文献)
Mastication of Nuts under Realistic Eating Conditions: Implications for Energy Balance
Brittany M. McArthur, Robert V. Considine, Richard D. Mattes (2018)
Published in: Nutrients
健常成人50名(男女各25名)を対象とした被験者内クロスオーバー試験。クルミ28gを粒のまま食べる条件と、同じクルミをペースト状にした条件を比較した。粒のまま食べたほうが満腹感は高く空腹感は低かった(p<0.05)一方、血糖値・インスリン・活性GLP-1には有意差が出ておらず、満腹感の差をホルモンでは説明できていない。著者らは咀嚼が神経を介して作用している可能性を挙げているが、確かめてはいない。なお本研究は糞便へのエネルギー損失や吸収率そのものは測定していない(それらは考察での先行研究の引用)。 参加者の条件に「健全な歯列であること」が含まれており、歯や噛みにくさに問題のある人は最初から対象外である。満腹感・空腹感の変化量は本文に数値として書かれておらず(p値と図のみ)、効果の大きさは原著からは読み取れない。資金は著者の1名がカリフォルニアくるみ協会から受けた研究助成による。
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