M

食物繊維は噛みごたえも含めて選ぶと変わる

食物繊維の価値は栄養面だけではなく、噛む回数が自然に増える硬さにもあります。満腹感につながる食事の組み立て方を説明します。

M

MoguExercise Team

「ダイエットには食物繊維をたくさん食べましょう」。この普遍的なアドバイスを聞いた誰もが、スーパーで野菜サラダやオートミール、あるいは粉末の水溶性食物繊維(難消化性デキストリン)を買い求めます。

しかし、なぜ食物繊維がダイエットに有効なのか、その「真の理由」を正確に理解している人はごくわずかです。多くの人は「食物繊維が胃腸の中で膨らんで満腹感が出るからだ」「便通が良くなってカロリーが排泄されるからだ」と漠然と考えていますが、それだけでは食物繊維のポテンシャルの半分も引き出せていません。

食物繊維の値打ちは栄養成分だけではなく、「硬くて簡単に噛みちぎれない」という物理的なテクスチャにもある——噛む回数が自然に増えるからだ、というのがこの記事の見立てです。ただしこれは仮説で、確かめた試験を引いているわけではありません。 E14 は咀嚼と肥満の系統的レビューですが、18件中16件が横断研究で、著者ら自身が因果関係の証明には至っていないと結論づけています。

咀嚼回数について、どこまで結果が出ているか

食物繊維が豊富な食品(ゴボウ、玄米、硬いナッツ、スルメなど)は、細胞壁が強固であり、数回噛んだだけでは絶対に飲み込めません。この「硬さ(テクスチャの抵抗)」が、我々の食事に強制的なペースダウンをもたらします。

  1. 咀嚼回数と食後の消費(DIT): 硬い食物繊維を噛み砕く行為は咀嚼筋を長く使います。食後の消費を測ったのは E03(健常若年男性11名)で、30秒間噛んだ条件のDITは対照より90分で約4kcal多くなりました(p<0.05)。「有酸素運動として機能する」と言える大きさではありません。

この箇所は以前 E06 を「メタボ予防効果」の根拠として引いていましたが、E06はDITを扱っていません。 また交感神経の活動を測った研究も引いていません。 2. GLP-1について出ている結果: 噛む回数を指定した試験では、GLP-1は上がっています。E17(一口30回)で食後30分の活性型GLP-1が有意に増加、E19(ガム咀嚼)でも有意に高い値でした。ただし同じ試験で、血糖値もインスリンも変化していません。 また E05(粒とペーストの比較)では、GLP-1にも血糖にも差が出ていません。 3. 「20分」と「ベジファースト」について: よく言われる「満腹シグナルが届くまで20分」という数字は、このサイトが引用しているどの研究にも出てきません。 食べる順番を変えて満腹感やホルモンを測った研究も引いていません。硬いものを先に食べれば食事が長くなるのは事実ですが、そこから先は確かめられていません。

粉末やスムージーではどうなのか

ここでひとつの疑問が湧きます。「それなら、青汁や食物繊維のサプリメントを水に溶かして飲めば、同じようにGLP-1が分泌されて満腹になるのでは?」

粉末や液状のものは咀嚼を経ずに胃へ届くので、噛むこと自体に由来する分は当然入りません。ただし**「飲んだのに余計にお腹が空いた」を確かめた研究を引いているわけではありません。**

近いのは E05 です。同じクルミを粒のまま食べる条件とペースト状にする条件を比べ、粒のほうが満腹感が高く空腹感が低いという結果でした(p<0.05)。ただし同じ試験で、血糖値・インスリン・活性型GLP-1のいずれにも有意差は出ていません。 著者ら自身、この満腹感の差をホルモンで説明できていません。

つまり「形が違えば満腹感は変わる」までは出ています。「ホルモンの出方が変わるから満腹になる」という説明は、まだ確かめられていません。

この記事で断定しないこと

  • 咀嚼が「有酸素運動として機能する」— 差は90分で約4kcalです(E03、男性11名)
  • 「20分」という時間の閾値 — 引用しているどの研究にも出てきません
  • 「GLP-1を大量に分泌させる」— E17・E19でGLP-1は有意に上がりましたが、血糖もインスリンも変わっていません
  • 「サラダをスムージーにするのは武器をドブに捨てる行為」— そこまで示した研究はありません
Science x Habit

正しい咀嚼を、もっと楽しく。

研究で報告されているメリットを、あなたの日常へ。MoguExerciseはあなたの健康的な食習慣をサポートします。