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Evidence Level:

ダイエット後のリバウンドと、噛むことの役割

減量後に食欲が戻ってくるのはよくあることです。噛むことがそこでどこまで助けになるのか、引用元の研究にあたって期待できる範囲と、期待できない範囲を分けて整理しました。

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MoguExercise Team

食事制限で目標体重に届いたあと、食欲が戻ってきて体重も戻る。よく起きることで、意志の問題ではありません。

体脂肪が減ると、脂肪細胞から出るレプチンという食欲を抑えるホルモンの量も減ります。体は摂取が足りていないと判断して、食欲を上げる方向に働きます。減量後に食欲が強くなるのは、この反応として説明されています。

では、噛むことはここでどれくらい助けになるのか。先に書いておくと、期待していい範囲はかなり限られます。

この記事は以前「GLP-1がレプチンの代わりとなって満腹中枢を落ち着かせる」と書いていました。そのような機序を示した研究は確認できませんでした。引用していた研究はむしろ逆の結果を出していたため、2026年8月に書き直しています。

GLP-1についての訂正

以前この記事は、噛むことでGLP-1が分泌され、それが減ったレプチンの代わりになると説明していました。

引用元の研究はそれを支持していません。

E05 の研究では、健常成人50名がクルミ28gを粒のまま食べる条件とペースト状で食べる条件で比較されました。満腹感と空腹感には有意差が出ています(p < 0.05)。しかし血糖値・インスリン・活性GLP-1には、いずれも有意差が出ていません

噛む形を変えてもGLP-1は動かなかった、というのがこの研究の結果です。「GLP-1がレプチンの代わりになる」という説明は、この研究からも、他に確認できた研究からも導けませんでした。

なお、GLP-1受容体作動薬という薬があります。本記事で扱っている食べ方の話とは別のもので、噛むことが薬と同じ働きをするという意味ではありません。 薬については医師にご相談ください。

消費カロリーも期待できない

E03 の研究では、噛んだ条件と飲み込んだだけの条件で、食後90分間の熱産生の差は約4kcalでした。

減量後は基礎代謝が下がるため、その分を噛むことで取り返そうという発想が出てきますが、この大きさでは埋まりません。

期待していいのは満腹感の側

残るのは満腹感です。E05 で有意差が出たのはここでした。同じ食材・同じ量でも、粒のまま食べたほうが満腹を感じやすかったということです。

E06 の系統的レビューも、十分に噛まずに飲み込んだ大きな食塊が消化の進み方を変えると整理しています。

満腹を感じやすければ、食べる量が自然に減る可能性があります。減量後の体重維持で噛むことに期待できるのは、この一点です。 代謝を上げる話でも、ホルモンを補う話でもありません。

体重維持そのものについて

体重を落としたあと維持できる人の割合は、研究によって幅がありますが、決して高くないことが繰り返し報告されています。よく引用されるのは、10%以上の減量を1年以上維持できる人が2割程度という推計です。

これは噛み方で解決する問題ではありません。運動、睡眠、食事の内容、そして続けられる範囲に目標を置くこと。 噛むことはそのうちのひとつの要素で、しかも小さいほうの要素です。

続けやすくする工夫

そのうえで、食べる速さを落とす工夫はいくつかあります。

  • 一口を小さくする: スプーンやフォークを小さいものに替えると、一口の量が自然に減ります
  • 歯ごたえの残る調理にする: 同じ食材でも、大きめに切る、煮込みすぎない、といった調整で噛む回数は変わります
  • ながら食べを減らす: 画面を見ながらだと、食べた量の把握が難しくなります

以前この記事は「顎が疲れるまで噛まなければならない食材から食べる」というルールを勧めていました。顎関節を痛める可能性があるため取り下げます。 痛みや違和感があれば歯科に相談してください。

また、特定の食べ物を家から排除するといった強い制限は、反動につながることがあります。摂食に関する困りごとがある場合は、自己流で進めず専門家に相談してください。


※この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。減量や体重維持について不安がある方、治療中の方は医師や管理栄養士にご相談ください。

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