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Evidence Level:

GI値(血糖上昇指数)の罠。「何を食べるか」より「どう噛むか」で血糖値のカーブが全く異なるという生理学的事実

低GI食品の玄米を食べても太る人と、高GIの白米を食べても痩せている人の決定的な違い。食品の成分表示だけでは絶対に分からない、胃腸への「到達スピード(咀嚼の介入)」という見えない変数の正体。

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MoguExercise Team

現在、コンビニのパッケージから健康本の帯に至るまで、「低GI(グリセミック・インデックス)食品だから太りにくい!」という宣伝文句があふれています。GI値とは、ある食品が白米やブドウ糖に比べて「どれくらい血糖値を急上昇させやすいか」を数値化した相対的なパラメーターです。

多くのダイエッターは、このGI値リストを信仰し、白米(高GI)を憎み、玄米やオートミール(低GI)を主食に選ぶことで安心感を覚えます。しかし残念ながら、「低GI食品を選べば血糖値スパイクは防げる」という神話は、人間の食行動における最も巨大な変数を見落としています。

それが、「その食品を口から胃に到達させるまでの『スピード(消化の初速)』」、つまり咀嚼(チューイング)という物理的なインターフェースの存在です。同じ食品(同じGI値)であっても、噛む回数が変われば、血糖値のカーブは全く別の波形を描く(E02関連の血糖動態)のです。

「玄米の早食い」は「白米の遅食い」に負ける

玄米が低GIである最大の理由は、その強固な「細胞壁(食物繊維群)」にあります。これが糖質を包み込んでいるため、胃腸の消化液が内部の糖にアクセスするのに膨大な時間がかかり、結果として吸収が遅れるのです。しかし、早食いによる「咀嚼不足の流し込み」はこの前提を完全に破壊します。

1. 「食べ方」によるGI値のパラダイムシフト

  • 白米であっても、一緒に食べる「硬いおかず(ハードテクスチャな副菜)」によって食事全体にかける時間(20分以上)を引き延ばし、一口ごとに30〜40回よく噛む(E05のペースコントロール)ことは、実質的に「超低GI食品」を作り出すことと同義です。よく噛むことで分泌されるGLP-1(インクレチン)が、膵臓のインスリンを事前にスタンバイさせ、緩やかな血糖カーブを構築します。
  • 一方、いくら低GIとされる「オーツ麦のパン」や「スムージー」などの流動性・低咀嚼食品を選んでも、それらを数分で胃に流し込めば、GLP-1の事前分泌(セーフティネット)が働かないまま腸に糖が殺到し、強烈な血糖値スパイク(高血糖)と、その後のクラッシュ(低血糖)を引き起こします。

2. インスリンの「迎撃ミサイル」システム

GI値という数値は、「食物が腸に到達してから先の化学反応」しか見ていません。しかし、人体の血糖コントロールにおいて最も重要なのは「到達する前の最初の15分間の物理的準備(脳と膵臓へのアラート)」なのです(E04の手順)。 噛むという顎の筋肉からの入力(三叉神経・ヒスタミン刺激)がなければ、インスリンは「敵(糖質)が目の前に現れてから」慌ててミサイルを発射することになり、常に後手(遅延)を踏みます。

炭水化物を選ぶとき、パッケージに書かれた「GI値」の数字を気にするのはやめましょう。真のGI値(あなた自身のリアルタイムな血糖上昇速度)を決めているのは食品メーカーではなく、「あなた自身の顎の上下運動(咀嚼の回数と粉砕効率)」という物理的な変数なのだという残酷な事実を認識すべきです。

Science x Habit

正しい咀嚼を、もっと楽しく。

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